自省log

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「閉店セール」というキャッチフレーズに心奪われた3年前

http://irorio.jp/canal/20140417/128480/

この記事読んだ。どんなキャッチが消費者に響くか。という調査結果らしく、アンケートによると「本日限り」「今なら増量」などのコピーが女性に響き易いようだ。これを同記事では女性が家計を切り詰める現実的な志向に対して、男性はプライドが高いため「お得」というワードに左右されにくいと綴っている。

話しは全く変わるのだが、私は昔からキャッチフレーズにことごとく引っかかるタイプだった。冷静になって考えれば、おかしなフレーズもそれを見た瞬間、あるいは営業をかけられるとつい先走って買いたくなってしまうのだ。

特に思い出深いのが地元の紳士服屋が以前やっていた「閉店セール」である。

その日私は鼻歌交じりにお散歩しながら、ちょっとしたお買い物でもしちゃおうと紳士服屋に足を運んだのだが、入店した瞬間"今までありがとうございました。閉店セール実施中!!"と書かれた垂れ幕を見て、ショックを受けたことを鮮明に覚えている。

私はこの紳士服屋にずっとお世話になっている、常連だったからだ。成人式のときに初めてスーツを購入したのもこのお店だし、新卒で社会に出るときも、転職のときにだってこのお店でスーツを買った。人生の節目を支えてくれたのはこのお店であり、私が今こうして社会人をやっていられるのも彼らのお陰と言っても過言ではない。言わば優しく私を包み込み、応援してくれる"第二の母"なのである。

だからこそすぐに決心を固めた。

最後の親孝行

をしようと。

閉店はとても寂しいが、決まってしまったものに駄々をこねても仕方ない。ならば今までの感謝を込めて、スーツを買おう。それがきっと最大の御礼であり、最大の孝行なのだから。

私は店長に今までの思い出と、いかに自分がスーツを買う気なのかを高らかに告げ、思うまま店舗を徘徊する。店長も想うところがあったのかもしれないが、心なしか涙ぐんでいるように見えた。

2時間ほどかけてスーツ2着と、小物(Yシャツとかネクタイ)計10万円分の購入を決め、会計を済ませる。安月給の末端サラリーマンにとっては苦しい出費だが閉店するこのお店への餞別なら安いものなのである。

店長「ありがとうございました。」

私「こちらこそ今までありがとうございました。今の僕があるのはここで買ったスーツのお陰です」

と精一杯の想いを込め、御礼を交わしお店を後にする。このお店はなくなってしまうけど、スーツと思い出はずっと残るのだ。この気持ちを忘れないように大事に使おう。そう自分に言い聞かせた。

そこにはビジネスを超えた、人とお店を繋げる確かな暖かさがあったのだ。
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あれから約3年。その紳士服屋は今も元気に営業してる。
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