デーモン小暮る
思えば社会に出て随分と時間が経った。楽しくも苦しかった、今までの社会人生活で学んだ事はただ一つ。「朝が辛い」
ここだけの話、私の大学生活はお世辞にも良いものとは言えなかった。グータラと夕方に目を覚まし、ヨッシャー!!!!!とまた寝る。
正にダメを絵に書いて、グチャグチャに丸めて捨てた様な生活だったのである。
そんな私にとって朝6時に起き、仕事に行くというサイクルは当時かなり深刻なものだった。今でこそ、だいぶ慣れたが
言ってしまえば寝不足のドラキュラが朝から日光浴するようなもの。体に悪い事この上なし。
しかし、得たものも幾つかある
(1)目の下のクマ
昔からデイゲームのメジャーリーガーみたいなクマをこさえていた私だが、今や熊みたいな顔になっている。愛くるしい熊フェイスで都内を駆け巡っているサラリーマンを見かけたら声をかけて欲しい。
(2)青白い顔
元々、血色が良い方ではなくガッツリ14時間寝た後に「何日徹夜してるの?」と聞かれた事もあるが今はそんなもんではない。
モノクロのコピーが真っ青になるくらいの白さ加減。以前黒くなろうと日焼けサロンに行って、更に白くなったのは伝説として今も語りぐさだ。
(3)こけた頬
最近は多少回復してきたが、一番酷いときはムンクの叫びが絶叫するくらいのこけ方だった。
「こけた」と言うより「掘った」に近いイメージ。
この姿を想像して欲しい。顔が真っ白で目の下にクマがある。そして、頬には深い陰影。
その姿を一言で表すなら「デーモン小暮」だ。
朝、鏡を見ると見慣れない閣下が立っているのだ。これ程恐ろしい事はそうない。
それからと言うもの、営業先の担当者が冷たい事、冷たい事。
ものすごく厳つい役員に凄まれた時は寿命が10万40歳縮むかと思った。
心なしか「ろう人形に~~なりたいなぁ~~」みたいな事を一人で呟いている時もある。
気付いた時にはもう手遅れ。この現象は止めどなく進行し、どんどんデーモンになっていく。
私はこれを「デーモン小暮る(こぐる)」と名付け、後世に残そうと思う。
いずれ何かの学会で発表しようという心積もりである。
社会全体が停滞し、未来が見難くなってきている今だからこそ
皆さんも十分気をつけて欲しい。"世紀末"はきっとすぐそこに迫ってるのだ。
心が疲れた時、何かに苛まれた時、「デーモン小暮る」はあなたの前に現れる。
これから社会に出る後輩の皆さん。
社会は辛いけれど楽しい事も勿論たくさんある。でも「デーモン小暮る」だけは注意して欲しい。
将来、誰一人として小暮らない事を切に願っている。