自省log

毎日5分をムダにしたな。と思えるブログ

地下鉄のホームで感じた無慈悲な現実

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それはある駅での出来事。

私は地下鉄のホームで立ち尽くしている。仕事が煮詰まっているからか力が全く入らないのだ。今私はどんな顔をしているのだろう。端から見れば虚ろな目をして、生気のない顔しているのかもしれない。それも当然だ。生きている心地はあまり感じられない。

ところでさっき気づいたのだが、このホームには停止線が書かれていないようだ。つまり、我々乗客が各々の判断で他の列とのバランスを取らなければいけないのである。

私は残念ながらこれを見誤ってしまった。このように中途半端な位置に立っていたからだ。

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なぜその過ちに気づけなかったのか。そんなことを考えるのはもうよそう、気づいたときには全てが終わっていたのだから。

こんなことになっていたのだから。

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後ろに猛烈な列ができている。私はその瞬間、言葉を忘れた。

もうどうしようもなく間違っているのに。私の後ろに並んでも全く意味がないのに。到着した電車の側面が拡がるだけなのに。

だが、言葉は出ない。

「ごめんなさい間違えちゃった」

の一言が出てこないのだ。今までどうやって喋っていたのだろう、どうやって声をあげていたのだろう。そんな簡単なことが、今は思い出せない。

それと同時にある事実に気付くことになる。ここに並んでいるのは愚かな日本人ばかりなのだと。

日本人は公の場で主張することに強いストレスを感じる。声を出せないのはそのストレスを恐れるが故ではないか。

そして、後ろに並んでいる彼らも同じ穴のムジナだ。周りの列を見るでもなく、ただ流されて目の前にあった列に思考を停止させて立っている。

「何も主張できない者」「何も考えない者」。そんな人間はただ搾取されるだけだ。ここには悲しい現実しかない。

私が最大の原因であることは言うまでもないが、2番目に並んだ人、それに続いた人、彼らはなぜ一言間違っていると言ってくれなかったのだろうか。

否、これが愚かな日本人の性なのである。
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「まもなく電車が参ります。黄色線の内側にお下がりください」

聞き慣れた機械音が、ホームにこだました。もう間もなくアイツが来る。唸るような音をあげて。これは電車の走行音などではない。彼らと私へ間違いを突き付ける"非情な現実の足音"なのだ。

後ろに並んでいる彼らは数十秒ののち、光り輝く扉から外れていることを知って私をこう責め立てるだろう。

「お前のせいで間違えた」

と。だがそれでは何も変わらない。他者の失敗を責め立てるだけではなく、自分が変わらなくては何も始まらないのである。

それはある駅での出来事。

私が立ち尽くした地下鉄のホームには、無慈悲な現実が敷き詰まっていた。何も主張せず、何も考えない者に道はない。

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ふと顔を上げてみると、目の前で光り輝く扉が大きな口を開けていた。

いや、立ち位置あってたんかい!!!

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