そろばんとギャルとコーヒーと私
先日、コーヒーブレイクをしようと立ち寄った渋谷のカフェで『渋谷に四六時中いるんですけど~チョベリバー』みたいなギャルに遭遇し、目を奪われた。
渋谷であればギャルなどさして珍しいものではないのだが、私はそのギャルから目が離せない。なぜなら彼女が「そろばん」を持っていたからだ。
※ギャルとそろばんのイメージ
格好は間違いなく今時のギャル。髪は金髪に近い明るい茶。
服は上から下までエロかっこよく、室内なのにタモリくらい堂々とサングラスを付けている。
そんな彼女がそろばんを片手に午後のコーヒーブレイクを嗜むとは何とも珍妙な光景である。
そろばんとギャル。これらを関連付ける方法を私は知らない。
言わば、『倖田來未』と『具志堅用高』が一緒にいるのと同じ様なもの。
私は激しく興味を引かれた。彼女に、そして彼女が持っているそろばんに。
なんとかしてそろばんを手にしていた経緯を知りたい。
そんな好奇心に駆られて、少し近づいてみる。会話は造作もなく聞き取る事が出来た。客は私を含めて数組しかいないからだ。
しかし、露骨に聞き耳を立てていたら蔑みの視線を受けるだけでなくそろばんで撲殺されるかもしれない。
もしくは「何このスーツ野郎。マジキモいんですけどー」ってそろばんで撲殺されるかもしれない。
平和はタダで与えられるものではない。危機意識は常に持っていなければならないのだ。ならば慎重に、作戦を遂行する。
作戦はこうだ。「頑張って聞く」
そうこうする内に30分が経過した。
「ぁたしもぅ2ヶ月も彼氏ぃない、もう一生できなそぉ~ww」
「誰かまぢ紹介して~メッチャ募集してっから~♪」
と"彼氏が出来ないアタシ"をテーマにしたディスカッションが、まるで永遠の様な長さで今も続いている。そろばんを傍に置きながら。
間違いなく長期戦の様相を呈している。
これから来たるべき決戦に備えて用を足しにいこう。ひたすらギャルの会話を聞き続けるのは根気が必要なのだから。
よっしゃー!!!とことんいってやろうじゃねぇか、こいやぁ!!
戻ると彼女達は既にいなくなっていた。
なんとも壮大な肩透かしである。苦汁を舐めるとは正にこの事。彼女達は何がしたかったのか?悔しさの余り目頭が熱くなる。
しかし、そこである一つの事実に気づき、私の思考は加速した。
彼女はそろばんを持っていた。しかも片時も手を離さず。
(あたしもう2ヶ月も彼氏いない、一生できなそぉ~ww)→独り身→ソロ
(誰かまぢ紹介して~メッチャ募集してっから~)→バンバン募集
ソロだから彼氏バンバン募集中!!→そろばん!
間違いない。これは彼女からの求愛メッセージだったのだ!
ちょっといってきます!