自省log

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タイでマッサージに行って「お前かよ」と叫んだ

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「いや、お前かよ!!!」

以前タイでマッサージに行って、そう叫んだ話である。

その日私はどうしても緊急の仕事があったため、予定したロケに参加するでもなくタイのホテルで業務をこなしていた。自分で言うのもなんだが、よく働いたものだ。

この時はちょうどGWだったので、本来なら仕事もほどほどに外へ行きたい。と思うのは、当然の思考だろう。だが仕事は待ってくれない。

「私にはやらなければいけないことがあるんだ」

そう自分に言い聞かせて、ひたすらPCに向かっていたのだが・・・。


ふとホテルの部屋から外に目をやると 、目の前にはきらびやかなネオンライトが広がっていた。現地時間で既に21時過ぎ。
仕事もひと段落したし、ホテルのすぐ隣のレストランで夕食を摂ることにする。

「สั่งซื้อสินค้า」

お店に入ると、一際美しいタイ人女性が「いらっしゃい」的なことを言いながら出迎えてくれた。いきなりの美人に思わず息を飲む。


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Photo by golfmania ※画像はイメージです。


彼女は目を見張るような美女だが、「サービス」という概念は微塵もないのだろう。お客様への感謝など1バーツにもならないといった顔で、メニューを机に叩きつけてきた。何を言っているのかよく分からなかったが、察するに「早く注文しろよ、このゴミカス」とでも言っているのだろう。

結局その美女へのプレッシャーと、言語能力のなさから「Fried Rice (チャーハン)」を頼むことにした。メニューがこれしか読めなかったからだ。自分の低スペック具合に涙しながら、少し塩っ辛いチャーハンを頬張ることにする。

だが、そんなダメダメな私にもたった一つ光明があった。店の汚い看板に書いてある

「タイ式マッサージ 300バーツ(日本円で約900円)」

である。

タイ式マッサージといえば、日本で最もポピュラーなマッサージの一つ。しかもここは、その本場。それをわずか900円で体験できるなど、これ以上の幸福そんなにない。ちょうど体も疲れていたし、今しがたメニューをぶん投げてきた美女にマッサージを注文しよう。

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「มันได้รับ มาถึง」

私がマッサージを受けたい旨を伝えると、彼女はこっちに来い的なことを言いながら私を誘導し始める。まさか、彼女が施術してくれる・・・のか?

確かに態度は大柄だし、何言ってるか全然分からないし、サービス精神など皆無である。 だが、美女だ。もうどっからどう見ても美女。

いつの日も世界は美女を中心に回っているのである。

「お願いします」

私は今まで発したことないくらい穏やかな声でそうお願いした。「彼女がマッサージしてくれるなら今日死んでも良い」そんな背水の陣的な覚悟をかためて。

そうこうしている内に、レストラン二階の奥の部屋に通された。部屋が真っ暗なのでちょっぴり怖かったが、こんな美女と二人っきりなら悪い気はしないのである。

だが次の瞬間、私は戦慄を覚えることになる。


なんか知らんおばちゃんと部屋で二人きりになっていたからだ。


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Photo by Thomas Leuthard ※画像はおばちゃんのイメージ。こんなのは付けてませんでした。


「いや、お前かよ!」

私は思わず、そう叫んだ。

おばちゃんはただ黙ったまま、不敵な笑みを浮かべ私の身体に手を伸ばす。

___


その時の心境を一言で表現するなら、「食われる」だ。

これは決して下ネタなどではない。物理的に食われる。それくらいの威圧感がおばちゃんにはあった。

だが予想とは裏腹にこのおばちゃん、マッサージ技術はかなりのものなのである。

緩急のついた適度な圧。巧みな手さばき。多少の痛みを伴うが、このマッサージ正しく極上。長年の経験によって積み上げられた技術の結晶、「老獪」という言葉がここまで似合う人間、世界にどれだけいるのだろうか。

私は先ほどまでの非礼を心の底から詫び、彼女のマッサージを全身で受け入れることにした。



ーーーそれから20分ほど経った頃だろうか。 ウトウトし始めた私は、おもむろに仰向けにされた。

夢現つではあったが、おばちゃんが何やら外を指さしながら 「スペシャルマッサージはいるか?」と問いかけているのだ。

そういうことか。 私は、その一言で全てを察知した。ここで全てが1本につながった。

先ほどの美人の存在、ここまでの流れ。この瞬間に全てが集約されているのだ。

私は、返す刀で「(さっきの女性に)チェンジ?」と質問を返す。おばあちゃんは不敵な笑みを浮かべ、おもむろに自分を指さした。

「いや、お前かよ!!!」


だが、断る。

だが、断る。