自省log

毎日5分をムダにしたな。と思えるブログ

ファミレスで見かけた、おでこにハエを止めてる美人。

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私はその日、ファミリーレストランで向かいの席に座っていた女性に目を奪われていた。これは恋なのだろうか、それとも愛?いや違う。彼女のおでこに何故かハエが止まっているからである。

年齢は20代中盤だろうか、細身でスタイルも良くキレイな顔立ち。はっきりいって美人だ。でも額にハエが止まっている。
始めは何かペイントでもしているのかと思った。カジュアルにタトゥーを入れる人が増えてきている昨今に於いて、額に何か刻む人がいたって不思議ではないのだ。だが、それはタトゥーでも何でもなかった。生きた昆虫だった。

彼女は髪をこれでもかとアップし、ベジータよろしくシワ一つないキレイなおでこを世界に向けて発信している。それ故に動くスペースを手に入れたハエは縦横無尽、右往左往しながら彼女の額を我が物顔で独占しているのである。

正直言って羨ましく思う。楽しそうにおでこを闊歩するハエを羨ましく思う。
私がこれからどんなに素敵な人生を歩もうともこんな美人のおでこを歩くことなど絶対にできないのだから。
今まで人間として四半世紀以上生活してきて、人並みのフェチズムを保持してきたことを自負しているがまさか自分がこんなにおでこフェチだとは思わなかった。彼女とそして、彼女のおでこに佇むハエがそれを教えてくれたのだ。

それに加え「なんでおでこが気にならないのか」そんな疑問が沸々と込みあげてくる。普通は皮膚に何かが付着したら気になって気になって仕方ないもの。しかし彼女は微動だにせず集中し、パソコンに向かっている。恐らく相当集中力がある人なのだろう。それとも面の皮が分厚いのか。
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何にせよ、現在彼女のおでこにハエが止まっていることは確かなのだ。
その状況を改めてみると私は口角が上がりそうになるのを感じた。本当に申し訳ないと思いつつも魑魅魍魎が渦巻く東京のファミレスで額にハエをつけているシチュエーションがどうしても堪えきれなかった。彼女にこの事実を伝えることもできないヘタレな自分を呪う。

そうこうしている内に彼女の手がスラリと動いた。どうやら少し集中が解け、額に違和感を感じたようだ。目線はパソコンから外していないが、綺麗な右手で額を払った。その瞬間、ハエが中空を舞う。
ついさっきまでやどりぎの如く、佇んでいた安住の地を失った彼(ハエ)の心中は推して知るべしである。私はハエが作り出した軌跡を目で追いながら吹き出さなかったことに安堵しテーブルに目を戻そうとした、そのときだった。

中空に円を描いていたハエが急に止まったのだ。ピタッと。彼女の額に。
もう自分を止められそうにない。声が出た、声が出てしまった。声に出して笑ってしまった。なんでまたそこに止まるんだ。
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その声を聞くや否や、周囲の人から明らかに変なものを見るような目線が飛んでくる。それもそうだ、いい年した人間がいきなり笑い出したら「なんだコイツ」と思うのが当然の帰結。
額にハエを止めている人、人をあざ笑うかのように動くハエに私は笑わされたわけだが、周囲の人から見ればハエは私なのである。

もうここに居座ることはできない。私は羞恥心に駆られ、食事もそこそこにファミレスを飛び出した。何故あんな風に笑ってしまったのか。彼女に悪いと思わなかったのか。こんなに自分が恥ずかしいと思ったのは初めてだ。

空を見つめるとどんよりとした曇り空が「お前は社会のハエ」とでも言いたげに醜悪な微笑みを浮かべていた。

私は自他ともに認める社会のハエ。額はまだ、ない。

ハエとり神(ハエとり紙)

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