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自省log

毎日5分をムダにしたな。と思えるブログ

電車で「骨伝導」らしき人を見かけた。

小話ネタ 日常系ショートショート

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「お前…骨伝導だよな!」

車内が比較的緩やかになった夕暮れの山手線にそんな声が響いた。
どうやらあるサラリーマンが同僚に向けて放った言葉らしい。私はあまりの衝撃発言に思わず耳につけていたイヤフォンを地面に叩きつける。ブログのネタになりそうな予感がしたからだ。虎の如き鋭い目つきで、様子を伺ってみることにする。
ちなみに骨伝導とは、私も詳細なことは知らないので添付するwikiを見て欲しいのだが、骨を振動させて音を直接伝える技術らしい。
骨伝導 - Wikipedia

まさかそんなものに例えられる人を見かけるとは、やはり世界は摩訶不思議で奇っ怪なことばかりである。
20年以上生きていれば自分を何かに形容される事くらいはある。また、人を何かに形容した事も1度や2度あるだろう。この時、人以外のものに例えられた場合はたいていが賞賛とはほど遠いことが多いものだが、今回は全く別のベクトルで、動物でもなくましてや人間でもない。「音の伝達手段」に例えられてる人を見るのは初めての経験だった。私は直感的に悟った「骨伝導っぽい人」これはブログのネタになると。

会話が聞こえた方に目をやると、そこには楽しそうに会話する若いサラリーマンが2人立っていた。恐らく彼らのどちらかが「骨伝導っぽい人」に違いない。しかしどちらも雰囲気は今風、まだ社会人数年目なのかスーツを着慣れていない感じがして初々しい見た目だ。またどちらも整った顔立ちをして、精悍な感じがした。骨伝導とは似ても似つかない風貌である。

そもそも骨伝導っぽい人とはどんな人なのか。考えられる可能性としては

・彼の声が骨を伝達して届く
・彼の意識がそのまま骨を伝わってくる

以上が考えられる。どちらもまぁたいへん結構な事だが、よくよく考えてみるとものすごく気持ち悪い。

しかしここまで来たら後には退けないのである。とにかく今彼らに何が起こっているのか知りたかったので一挙手一投足を逃すまいと観察を続けた。
あるいは注視し続ければ何かが私の骨に伝達されてくるかもしれないとも思ったからだ。

そんな時、二人組みの一人がイヤフォンを付けながら、嬉々とした表情を浮かべ曰わった。

「やっぱすげぇはコレ。電車でも余裕で聞こえる!」

!?

「やっぱイヤフォンは骨伝導にした方が良いかもな」

!!?

私は愕然とし、そして全てを理解した。あの冒頭の言葉は

お前骨伝導だよな!」ではなく「お前(のイヤフォン)骨伝導だよな!」だったのだ。骨伝導式のイヤフォンだと周囲の音の影響は少ないらしいが、私は普通のイヤフォンだったばっかりに上手く聞き取れなかったのである。

骨伝導の凄さを確かめ合う二人の若きサラリーマン、それを眺めるアラサーな私。よくよく考えみれば「骨伝導っぽい人」なんているわけないじゃないか。
もしかしたら「ブログのネタになるかもしれない」と邪な気持ちを抱いて、前のめりで聞いてしまったが現実はそんな甘くない。現実は意外と無情で、淡々としているものなのだから。

そんな私の気付きが画面を通してあなたの骨に伝導すれば良いなと思い、本日書き綴った次第である。

maxell カナル型骨伝導イヤホン「VIBRABONE」 ブラック HP-VBC40-BK

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